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【side 花琳】
明日はいよいよ、白雪くんと付き合うようになってから初めて迎えるバレンタインデー。今までは勇気が出なくて渡せなかったけど、今年こそは……ちゃんと渡すつもり。
そういう訳で、妹の海奈に手伝ってもらいながら、私はチョコレート作りを始めた。
「姉さん、板チョコを刻んでくれる?」
「わ、分かったわ!」
私は、ギュッと包丁を握りしめて板チョコを刻もうとするけど……指を切るのが怖くて、手が震えちゃう。な、なんとかして落ち着かないと……。
私はとりあえず深呼吸して、チョコを睨みつけた。大丈夫よ、私……。猫の手をしてれば、指が切れたりなんてしないんだから。大丈夫……。
意を決して、私は包丁を板チョコに叩きつけた。
ターン!と大きな音がして、大きく切れたチョコが勢いよく跳ね……床に落下する。
……私、やっちゃった?
「ね、姉さん!?大丈夫……じゃないか」
ボウルや鍋を出して、湯煎の準備をしていた海奈が振り返り、苦笑いしながら私とチョコを交互に見た。うう……気遣いのこもった視線が逆に痛い……。
「……俺がチョコを切るよ。姉さんは俺が切るのを見てて。切り方教えるから」
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