花琳のバレンタイン

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「う、うん……ごめんね、海奈。チョコ、少しダメにしちゃって……」 「いいって!こんなこともあろうかと、2人で多めに用意しただろ?」  海奈はそう明るく励ましてくれるけど……私は、チョコ1つ満足に作れない自分が情けなくて、俯いてしまう。  私って、なんでこんなにダメなのかな……。こんなんじゃ、白雪くんと釣り合わないわ。 「はぁ……」  落ち込んじゃって、思わずため息をついてしまう。でも、そんな私を見て、海奈は穏やかに微笑みながら、 「チョコ作り、今回が初めてなんだからさ。あんまり気落ちせずにいこう。大丈夫。俺と姉さんなら完成できるよ」  と、励ましの言葉をくれた。  ……そうね。いちいち失敗を気にしてたら、いつまで経ってもチョコが完成しないわ。明日までに完成させなきゃ白雪くんに渡せない。それだけは、絶対にダメ。 「……うん。私、頑張るわ」 「その意気だよ!ほら、切り方教えるから見てて」  海奈はそう言い、包丁を引くように動かしながら、チョコを細かく刻んでいった。
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