花琳のバレンタイン

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「ごめんなさい……私また失敗しちゃった」  落ち込む私を見て、海奈は慌てて首を横に振る。 「だ、大丈夫だよ!湯煎、俺も手伝うからさ、一緒にやろ!その前に、チョコを刻まなきゃだけど……姉さん、切ってみる?」 「私が……?」 「うん!俺が作ったのより、姉さんが作ったチョコの方が、白雪さんに気持ちが伝わるんじゃないかなって思って」 「……」  たしかに、そうね。このままだと、海奈に殆ど任せちゃうことになりそうだし……私も、やっぱり自分で作ったチョコを渡したいもの。  ……よし。 「やってみる……!」 「よし!俺も見てるからさ、頑張ろうぜ!」  海奈に見守られながら、私はチョコ作りを再開した。  なかなか上手に刻めなかったし、湯煎も上手くできなくて、何度もやり直したけど……。  ……窓から、夕日の光が差し込む頃、ようやく、チョコが形になった。
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