5人が本棚に入れています
本棚に追加
「白雪様、今年も贈り物が届きましたが……どうされます?」
「折角みんなが用意してくれたものだから捨てられないし……とりあえず貰うよ。だけど、来年からは、予め断って欲しいな……」
会話が耳に入ってくる。白雪くんに、誰かが贈り物をしてきてるみたい。
「分かりましたわ。……本当に、白雪様は人気者ですわね。どのお嬢様も、白雪様との縁談を諦めていないようです」
縁談……!?き、聞き間違いじゃ……ない、わよね……。じゃあ、あの袋の中身って……もしかして、バレンタインのチョコレート?
お嬢様ってことは、白雪くんみたいなお金持ちの女の子達……かしら。だったら、きっとチョコだって高級なものに決まってる。
私のみたいな、不格好なチョコなんて……渡せないわ。渡せないわよ……。
私の手から、チョコレートの入った箱が床に落ちた。その音で、白雪くんがこちらに気がつく。
「……花琳?」
早足でこちらに近づいてくる白雪くん。私は逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど……足が動いてくれなかった。
「これ、落としたけど……」
白雪くんが、私のチョコが入った箱を拾い……一緒に挟んでいたメッセージカードに気がつく。……白雪くんへ。そう書かれたメッセージカードに。
「……もしかして、僕に?」
「あ……えっと……」
言い訳して、返してもらおうかとも思った。でも……折角頑張って作ったチョコで、海奈にも背中を押して貰えたことを思い出して……正直に伝えなきゃ。そう、思いとどまったの。
最初のコメントを投稿しよう!