花琳のバレンタイン

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「白雪様、今年も贈り物が届きましたが……どうされます?」 「折角みんなが用意してくれたものだから捨てられないし……とりあえず貰うよ。だけど、来年からは、予め断って欲しいな……」  会話が耳に入ってくる。白雪くんに、誰かが贈り物をしてきてるみたい。 「分かりましたわ。……本当に、白雪様は人気者ですわね。どのお嬢様も、白雪様との縁談を諦めていないようです」  縁談……!?き、聞き間違いじゃ……ない、わよね……。じゃあ、あの袋の中身って……もしかして、バレンタインのチョコレート?  お嬢様ってことは、白雪くんみたいなお金持ちの女の子達……かしら。だったら、きっとチョコだって高級なものに決まってる。  私のみたいな、不格好なチョコなんて……渡せないわ。渡せないわよ……。  私の手から、チョコレートの入った箱が床に落ちた。その音で、白雪くんがこちらに気がつく。 「……花琳?」  早足でこちらに近づいてくる白雪くん。私は逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど……足が動いてくれなかった。 「これ、落としたけど……」  白雪くんが、私のチョコが入った箱を拾い……一緒に挟んでいたメッセージカードに気がつく。……白雪くんへ。そう書かれたメッセージカードに。 「……もしかして、僕に?」 「あ……えっと……」  言い訳して、返してもらおうかとも思った。でも……折角頑張って作ったチョコで、海奈にも背中を押して貰えたことを思い出して……正直に伝えなきゃ。そう、思いとどまったの。
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