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「……バレンタインだから、チョコを作ってみたの。白雪くんに渡すんだって……。でも、白雪くん、沢山貰ってるみたいだし……あんまり上手くできなかったから、無理して食べなくてもーー」
食べなくてもいい。そう伝える前に、白雪くんは箱を開けてチョコを取り出し……大きくて不格好なそれを、一口、口に運んでいた。
「……うん。美味しいよ」
白雪くんは、そう言ってふわりと微笑み……残りもパクパクと食べてしまう。
「あ、立ち食いなんて、はしたないことしてごめんね?花琳から貰えたのが嬉しくて……ちゃんと食べてる所を見て欲しかったんだ。そうじゃなきゃ、捨てられたって疑われても仕方ないからさ」
捨てるだなんて……白雪くんは、絶対そんなことしない。でも、私を安心させるために、その場で食べてくれたんだ。その優しさに胸が締め付けられて、涙が出てしまう。
「っ……ごめん。嬉しくて……」
私が涙を流していると、白雪くんがその手で拭ってくれた。病気のせいで体温が低くて、常に手袋を履いているから、素肌に触れた訳じゃないけど……彼の温かさが伝わってくる。
……私、やっぱり白雪くんが好き。
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