海奈のバレンタイン

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「俺に……チョコ、くれるんだ」 「う、うん。あ、べ、別に好意の押し売りとかじゃなくて……好きとか関係なく、海奈にはお世話になってるし……海奈はチョコ渡すより貰う方が嬉しいかなって思って……」  しどろもどろになりながら話す深也。その言葉の端々には、深い優しさが滲んでいる。  ……もう大分前になるけど、深也は俺のことを好きだって言ってくれた。それがきっかけで、俺は自分らしく生きようって思えたんだ。でも、自分が誰かを好きになれるのか、まだ分からなくて……あの時の俺は告白を断ってしまった。  それでも、深也は仲間として俺に接してくれたんだ。そして……ずっと、俺のことを好きだとも言ってくれた。  深也は、俺を無理に付き合わせようとはしないと思う。俺の意思を尊重して、最悪、俺が他の誰かと付き合おうが……許してくれるんだろうな。  でも……それって、深也の優しさにつけ込むことにならないか?こんな中途半端な関係……深也は苦しくないのか?  俺は、このチョコを受け取ってもいいのかな……。
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