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「み、海奈……どうかした……?」
「あ……ごめん、ちょっと、考えてて……」
俺は深也から目を逸らす。罪悪感で胸を締め付けられて……どうも、息が苦しかった。
「ぼ、僕からのチョコ、やっぱり気持ち悪かったかな……男からのチョコなんて……う、嬉しくないよね……」
「っ……!そんな訳ないだろ!」
深也の言葉に、俺は思わず大きな声を上げてしまう。その声に、深也がビクリと肩をすくめて、怯えた顔で俺を見ている。
あー……そんな顔、させたい訳じゃないのに。
「……ごめん」
俺は何も言えずに目を伏せる。一体どうしたらいいんだろう。俺は、どうするのが正解なんだ?どうしたら……深也に誠実でいられるんだ?
俺……そんなことも分からないのか。ほんと、俺ってダメだな。やっぱり……普通の人とは違うんだ。
俺も……ちゃんと女として生きられたら良かったのに。男の人を好きになれるって、始めから分かっていれば良かったのに。
塞がったはずの心の傷が、ズキズキと痛む。痛いなぁ……痛い、痛いよ……。
ごめん。ごめんな、深也。こんな俺でごめん……。
でも、自分を責めることしかできない俺に、深也は落ち着いた声で優しく包んでくれたんだ。
「……海奈。大丈夫、だからね」
「え……?」
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