海奈のバレンタイン

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 何が大丈夫なんだろう。意味がわからなくて聞き返してしまったけど、深也はすぐに答えを教えてくれる。 「僕なら、大丈夫だから。海奈は優しいから、僕のこと気にしてくれてるんだろうけど……これは、僕が好きでやってることだから」  だから、気にしなくていいよ。そう優しく伝えてくれる深也。だけど……俺の心は凪いでくれない。 「……でも、苦しくないのか?だって、俺は……未だに自分が誰を好きになるのか、答えを出せてなくて……深也とも、中途半端な関係で……不誠実だろ?こんな関係嫌じゃないのか?」  俺は不安と罪悪感をぶつけるけど……深也は穏やかに微笑んでくれて。その笑顔を見るだけで、何となく自分が許された気がしてしまう。そんなこと、あっていいはずないのに。 「僕、海奈が答えを見つけられるまで待つから。ゆっくりで大丈夫だよ。誠実であろうとしてくれるだけで、十分だからさ」 「っ……」 「海奈が誰を好きになるか、まだ分からないけど……君がどんな答えを出しても、僕にとって君は大事な人だから。そのチョコは、そういう僕の気持ち。だから……受け取ってくれると、嬉しいな……」
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