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ボクと燕さんがやって来たのは、天ヶ原町郊外のお花屋さん。『フラワーショップ瀬野』と書かれた看板は、少し古びていたけど……お店の中は結構いい雰囲気だった。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
肩口まで茶色い髪を伸ばしたお姉さんが、優しく尋ねてくれる。なんていうか、穏やかな雰囲気の人だな……。
「バレンタインデーの贈り物を探してて……」
燕さんが、少し頬を染めながら答える。すると、お姉さんはふわりと微笑んで、
「オススメなのは、やっぱり薔薇ですね。ご案内します」
と、薔薇の花の所まで案内してくれた。
そこには、赤、ピンク、黄色、オレンジ、白……と、優しい色の花が並んでいる。どれも綺麗だな……。
「色んな色があるんですね……どれも綺麗です」
燕さんがそう微笑むと、お姉さんは嬉しそうに頷く。
「ありがとうございます。……本当は、さっきまで青色の薔薇もあったんですよ」
「青い薔薇……?」
「はい。でも、私の義弟が全部買っていってしまって……ここだけの話、プロポーズするみたいですよ」
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