ホープのバレンタイン

5/10
前へ
/67ページ
次へ
 お姉さんはコソリと言って、悪戯っぽく笑う。 「すごい……上手くいくといいですね!」  そう言って、目を輝かせる燕さん。  義弟さん……どんな人なんだろう。でも、成功するといいな。  青い薔薇の花言葉は……確か、『奇跡』とか『夢が叶う』だったはず。きっと、それだけ本気なんだから。 「ふふ。ありがとうございます。あ、お客様のお花も準備しないと。どなたにプレゼントされるんですか?」  お姉さんの質問に、燕さんが顔を赤くする。 「え、えっと……恋人に……」 「なら、赤い薔薇がぴったりです。薔薇は本数によっても意味は変わるんですが……」  お姉さんはそこまで言うと、燕さんを見て優しく微笑んだ。 「9本で、『いつもあなたを想っています』という意味になるんですよ。いかがですか?」 「いつも、あなたを……」  燕さんは頬を染めて俯いてしまう。きっと、照れてしまってるんだろうな。 「燕さん」  ボクは、彼女の背中に手を添える。燕さんが、前へ踏み出せるように。 「大丈夫ですよ。きっと、聖夜さんも受け取ってくれます」 「ホープ君……うん。そうだね」  燕さんは微笑んで、お姉さんに頷いた。 「赤い薔薇を9本。花束にして頂けますか?」 「はい。喜んで。少々お待ちくださいね」  お姉さんは微笑みながら、薔薇を9本取って、花束を作り始める。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加