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愛を伝えられるものではないけれど……今のボクには、これがピッタリだ。
だって……聖夜さんには、本当に感謝しているから。聖夜さんに出会えたから、聖夜さんに恋をしたから……ボクは心を見つけて、愛っていう宝物を知ることができた。その恋は実らなかったけど……今、幸せでいられているのは、聖夜さんのお陰だから。
……この花を通して、聖夜さんに、いつも一緒にいてくれてありがとうって、感謝を伝えられたらいいな。
「花束、できましたよ」
お姉さんがボク達に歩み寄ってくる。ボクはフリージアを1輪手に取り、お姉さんに手渡した。
「あの……この花も、別で買ってもいいですか?」
お姉さんは少し驚いていたけど……やがて、ニッコリと笑って頷いてくれた。
「いいですよ。こちらでお会計しますね」
燕さんとボクは、それぞれ特部で働いて得たお金を支払って、花を受け取る。
「頑張ってくださいね」
お姉さんはそう言って、燕さんに花束を手渡し……ボクにフリージアを渡しながら、耳元でコソリと
「義弟を……聖夜をよろしくね」
と、微笑んだ。
「え……じゃあ、青い薔薇を買っていったのって……」
ボクが尋ねようとした時、燕さんのスマートフォンが鳴り出した。
「わっ!もしもし……聖夜さん?……は、はい。分かりました……今行きます」
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