燕のバレンタイン

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【side 燕】  ホープ君と一緒に、聖夜さんに贈る花束を買った後、私は聖夜さんに呼び出されて、海へ向かっていた。  本当は、ホープ君と一緒に渡そうって思ってたんだけど……浜辺へ降りる階段の手前で、あの子は立ち止まったんだ。ボクはここで待ってる……そう言って。  ホープ君にとっても、聖夜さんは大切な人で……私は恋人だけれど、その想いを踏みにじりたくはなかった。でも……ホープ君は、笑顔で私を送り出してくれたんだ。  だから、ちゃんと渡さなきゃ。この気持ちも、花束も、心を込めて贈らなきゃ。  緊張でドキドキする胸を落ち着けながら、私は階段を降りていく。  そして、浜辺に降り立ち周りを見ると……海を見つめて佇んでいる聖夜さんを見つけた。 「聖夜さん!」  私が声を掛けると、彼は笑顔でこちらに手を振って……駆け寄ってきてくれた。 「ごめんな、急に呼び出したりして」 「いえ、いいんです。……私も、聖夜さんに会いたかったから」  私がそう言うと、聖夜さんは嬉しそうに微笑んでくれた。その、穏やかで大人っぽい笑顔にドキリとしてしまう。優しげで、余裕のある表情が本当にかっこよくて……うぅ、直視できないよ……。
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