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もしそうだったら、お菓子は渡せないよね。とりあえず、このまま琴森さんに会って、後で代わりにお菓子を渡してもらおう。
そう思ってたんだけど、翔太くんは静かに首を横に振る。
「今終わってきたところだ。何か用でもあったのか?聖夜なら今日は休みだが……」
「あ、今日は聖夜に用事があった訳じゃないんだ。翔太くんに、これ……渡したくて」
私はそう言って、黄緑色の包み紙でラッピングされた、マカロンの詰め合わせを手渡した。
「お店でね、翔太くんの瞳に似た色のマカロンが並んでて……つい買っちゃったの。一応有名なお店のお菓子だから、味は大丈夫だと思うよ!」
「そうか……マカロン……」
翔太くんは、何か考え込むように箱を見ている。何でかな?箱だけ見ててもお腹は膨れないけど……。
「……どうかした?」
「いや……意味が分かっててマカロン買って来たのか気になって……」
「意味?」
どういう事だろう?私が聞き返すと、翔太くんは顔を真っ赤に染めながら慌てて口を開く。
「な、なんでもない!知らないならいい!」
「えー?気になるなぁ。ちょっと調べるから待ってて!」
「いや、調べなくていい!頼むから調べるな!!」
制止する翔太くんを無視して、私はスマートフォンで検索する。
……マカロン、バレンタイン、意味、と。
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