side 泉 涼

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 その途中で最前の場面に通り掛かった訳だ。俺の説明を聞いて、花織ちゃんがドン引きする。 「うわ、最低……」  その反応が心地良い。 「そうだよ。俺みたいなドクズに好意を寄せてくる女の子達って、どうかしてるよね。見る目ないと思う。正直、気持ち悪い」  好きなんて言葉、信用出来ない。でも、嫌いに嘘は無いから、花織ちゃんを見ていると安心する。 「泉先輩って……」  花織ちゃんが、何かを言い掛けて口を噤んだ。首を捻って「うん?」と促してみると、なんてことはない。「ひねくれてますよね」と返ってきた。 「今更?」 「そんなんじゃ、一生恋人出来ませんよ? 何か可哀想になってきたんで、あたしのチョコあげましょうか?」 「わ~い、じゃあ貰お」 「あたしのも惚れ薬とか入ってるかもしれませんよ?」 「そんなの入ってたら、花織ちゃんが俺にくれる訳ないもん」  花織ちゃんが振り向かせたいのは、俺じゃなくて浩太なんだから。
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