2

1/1
157人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ

2

俺には二つ上の兄がいる。 名前は(こう)。 人形のようにとても綺麗(きれい)な顔をした、自慢の兄だ。 俺がキッチンで皿を洗っていると、昊が冷蔵庫の水を取りに来た。 その時伸ばした白い腕の内側に、赤い跡がついてることに気づく。 俺は濡れたままの手で昊の腕を掴み「どうしたの、これ?」と聞く。 「なんでもない…触るな」 そう冷たく言い放って、昊が俺の手を振り払う。 目を合わすことも無くリビングから出て行った昊の華奢(きゃしゃ)な背中を見て、深く息を吐いた。 またかよ…。いつからあんな素っ気なくなったんだろ。俺は以前のように仲良くしたいのに。 皿洗いを再開しながら、俺は昔の昊を思い返した。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!