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その頃、発酵菌研究所では。
「やったぞ。ついにやった、この細菌なら条件にピッタリだ!」
「やりましたね博士。これならゼニックの要望通りです。それにしても凄い閃きでしたね」
「ああ、地域の皆様の苦情には、目を通すものだな。何でも旦那の靴下が、納豆臭くなるのはおたくの菌類が漏れているんじゃないんですか?なんて。まったく、とんでもないバイオハザードだよ。だが何故、我々が納豆菌を扱っている事を知ったのだろうな」
「それは簡単な話ですよ。研究所の前に、安全を知らせる為に看板を作って置いてますから。
写真付きで、気持ち悪いと不評でしたけど。
それに、この間のオープンハウスで、納豆やら味噌やらお酒を、格安で売ったでしょ。
メーカー協賛で。あれで分かったんじゃないんですか?」
「成る程。怪我の功名と言うやつだな。あはは、すぐにゼニックに連絡を」
(ZNKU、ゼニック。全日本航空宇宙局の略。ジャクサの後継機関と言う設定です、作者注)
「はい、博士!」
助手はすぐに連絡を入れた。だが先方からの要望は。
「博士、パイロットを一人紹介しろと言ってきました。科学知識のある者を、との事です」
「はぁ?何でゼニックで用意しない?専門職だろう?!」
「何でも、この間の不祥事で予算を削られて、候補者がいないそうです。そっちの立案なんだから、そっちでそこまで揃えろと」
「何と!困ったな。誰が火星まで行くというのだ?君行かないか?名誉だぞ。火星の神になれるぞ」
「いえいえ。私には家族がいます。単身赴任で何ヶ月も何年も地球を離れるのは、お許し下さい」
「困ったな、誰かいないか?」
その時、コンビニでアルバイト中の主人公、相原は寒気を覚えた。
「店長、冷房きつくありません?!」
相原は、己の運命をまだ知らなかった。
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