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博士達が悩んでいると。コンビニから、ざる蕎麦を買った研究員が戻ってきた。
「博士!そろそろお昼時にですよ。食事をとられたらいかがです?」
その研究員、大滝は若干メタボな体で、満面の笑みを見せた。博士こと、荻田さんは思った。奴なら独身だ、何ヶ月もいなくなっても誰も困らない。
それに、オタクっぽい体型だ。神になれると言えば、その気になるかもな。フフフ、奴を騙すか。
「大滝君、君は人類の新たなる希望とならないか?」
荻田さんは言った。大滝は、
「へっ?何の事です?」
そこで、ハッと気が付いた。
こいつは人体実験をする気だな!
この間も俺の靴下に、納豆菌をばら撒き。
それを駆逐する細菌を何度も塗って。
俺の足をボロボロ皮膚にしたんだ。
お蔭で今でも臭い!
チクショー、折角ご近所さんのフリをして、
苦情を書いた手紙を送ったのに。
博士見破ったか?
大滝は、すぐに真面目な顔になり。
「お断りします」
と深々と頭を下げると。自分のデスクに座り、ざる蕎麦を開き袋に入った水を満遍なく麺に掛け、出汁を開き麺の横の小さなカップに入れ、ネギを入れ海苔を入れ、ワサビを半分絞り入れ、掻き回したのであった。
そして、いなり寿司の3個パックのフィルムを剥がして、蓋を開けると几帳面に、いなり寿司の容器の下に重ねて。ざる蕎麦の麺を解しだしました。
その一連の動作を見ながら、荻田博士は考えました。どう言えば乗るかな?
脅迫も辞さないぞ。そう思うのでした。
「大滝君、食べながらで良いから聞いておくれ。例の火星テラフォーミングプロジェクトに参加しているのを知っているよね。
あれでね、良いのが出来たんだよ。
でね、それを火星に撃ち込む計画をプレゼンしたんだよ」
大滝は顔を上げ、興味なさげに。
「良かったですね」
とおざなりに答えた。
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