地獄行きメーター

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 閻魔庁の中は二手に分かれていて、一方は閻魔の待つ法廷へ、もう一方は横にずらっと並んだ窓口へと繋がっていた。   「こちらで一度メーターの確認をさせて頂きます!判定が微妙なラインの方、上限に達しているものの情状酌量の余地がある方は閻魔様のお裁きを受けて頂きます。その他、メーターが地獄行きラインに達しておらず、極楽行きが確実な方は、こちらの窓口で簡易的に手続きをさせて頂きます!」    行列の整理をしている真面目そうな鬼がそう説明している。テツオはメーターを鬼に見せる事なく、当然のように窓口に並んだ。。   「次の方、どうぞ」    テツオは、自信満々にメーターを差し出す。   「おぉ…これは…」    メーターを見ると、窓口の鬼が驚いたように目を見開く。   (ほぼ0だもんな。こんな優秀な奴、そうはいねぇだろう)    余裕ぶるテツオに、意外な言葉がかけられた。   「随分と悪い事をされたんですねぇ。こんなメーター、久しぶりに見ましたよ」 「は?てめぇの目は節穴か?」    そう言った後、慌てて口を押さえて言い直す。   「い、いや。ちゃんと見てくださいよ!メーターはほぼ0じゃないですか。悪い事なんてやってたらこんな低くはならないでしょう」   「いや、あなた。このメーター、7個目ですよ?」   「7個目…?」   「つまり、既に6個のメーターは上限に達し、それではまだ足りないので今は7個目のメーターが表示され、その0付近を矢印が示しているという事です。おそらく、メーターが上がる瞬間をご覧になっていないので、勘違いをされたんじゃないですか?」   「そんな仕様、聞いた事ねぇぞ!どこにそんな事書いてある!」    善人のフリをするのも忘れ、テツオは鬼に食ってかかった。   「ほら、ここ。ここをスワイプすると前のメーターが表示されます。それに、ここに今何個目のメーターかも書いてあるじゃないですか」  
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