あなた

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あなた

 学校からの帰り道 いつも一緒が当たり前で 隣に居るのが当然のようで、 そんな奇跡に漂っていたいから 好きです、なんて告白なんか 絶対できないよ だからね 私はかたっぽ手ぶくろを主張する あなたは思わせぶりな笑顔で私の手をポケットに押し込む ねぇあなたには私はだだの友だち? だだの幼なじみ? 聞けやしないよ 聞くのが怖い だからね 私はかたっぽ手ぶくろを主張する どこかで落として無くしちゃったの お気に入りだからね きっと誰かが拾って届けてくれるわ だからね 代わりなんか用意しないよ うそうそ 本当はかたっぽ手ぶくろの私でいると あなたが寒そうだとか言って 私の手を握ってそのまま自分のポケットに入れるのを知ってるから 私はずるい かたっぽ手ぶくろを主張する ほらね 今日も奇跡のような一瞬が起きた 心拍数が跳ね上がる 温めるようにぎゅっと握るポケットの中のあなたの手 外は木枯らし 春が来なきゃいいのに。 このまま冬に抱かれて 温めあう、この季節が大好き
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