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「ザカリア様が危険? あの子がお腹にいた時から、ザカリア様はルチアノを守ってくださっていました」
ルドヴィク様が言葉に詰まる。
「ジュストもです」
「もったいないお言葉でございます」
うやうやしくジュストがお辞儀する。
「ルチアノには、血が繋がっているだけの父親は必要ありません」
「このっ……!」
殴りかかろうとしたルドヴィク様をジュストが止める。
「無礼だぞ!」
「セレーネ様の護衛ですので」
ルチアノがいなくてよかった。
血が繋がっているだけとはいえ、父親のこんな姿を見たくないだろう。
「ルドヴィク様。ルチアノのためを思うなら、贈り物などではなく、国王らしい姿をあの子に見せてください。もし、それができないなら……」
「できないなら?」
ジュストに手を掴まれたまま、ルドヴィク様は聞き返す。
「ルチアノに近づかないでください」
「セレーネ、貴様っ!」
ジュストは、ルドヴィク様を部屋の外まで連れていく。
「お前など、俺の妻じゃない! 二度と妻にしないぞ!」
「当たり前でしょう。もう別れているのに、妻だなんて思われたくありません」
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