1 捨てた(元)妻 ※ルドヴィク

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 銀髪に青い目、妖精のように美しい王妃セレーネ。  いや、正しくは妻、王妃だ。 「なぜ、王妃でなくなったお前が、ここにいる!」 「国王陛下にお会いするため、王宮へ戻って参りました」  賢く美しいセレーネ――侯爵令嬢だった彼女は幼い頃から、評判がよかった。  王妃にするには申し分ないと思ったから、自分の妻に選んだのだ。  だが、次代の王を身籠ったのは彼女ではなかった。 「セレーネ……」  今の俺の妻(王妃)、デルフィーナは驚き、言葉を失っていた。  デルフィーナは赤い髪と赤茶色の瞳、気の強さが顔に出ているが、美人だ。  彼女には、セレーネのように特別なものは感じなかったが、セレーネと違うからこそ、惹かれるものがあった。   「デルフィーナ。驚いているけれど、私が王宮に戻らないと思っていたのかしら?」  ――その通りだ。まさか、数年経って目の前に現れるとは……  セレーネがデルフィーナに微笑む。  デルフィーナも負けてはいない。 「わたくしは王妃なのよ。なれなれしく口をきかないでちょうだい。今さら戻ってきて、いったいなんのつもりかしら」
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