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「─── 手、邪魔」
聞き覚えのある声が聞こえてきたかと思うと、私と男の間に割り込み、ものすごい眼力で睨みつける ────
「御影、くん?」
ほぼ無意識に。
すがるように御影くんのブレザーを握った。
「後ろ、隠れてろ」
「っ、うん」
じわりと目を細めて薄笑いを浮かべる御影くん。
だんだんと心が安定して、鳥肌もおさまってきた。
「っ、お前....碧の」
「きゅ、急に出てきてなんだよ!」
突然の御影くんの登場に戸惑いながらも、牙を向く男のひとたち。
「へえ、俺の事知ってんの。.....なら、どーなるか分かるよな」
その言葉と同時に男の隙をついて、的確に鳩尾に拳をいれる御影くん。
「ぐっ....」
フラリと体勢を崩した男の人の後ろに回り込み、綺麗な蹴りを入れる。
近くで見るとわかる、圧倒的なスピード。
「今後一切、こいつに近づくな」
「....っ、覚えてろよ」
無言で睨み付ける御影くんに叶わないと判断したのか、そんな捨てゼリフを吐きながら、走って逃げて行く男の人。
「お、おい....っ、一人だけ逃げんなっ」
残された男の人も、怯えきった顔をしながら、慌てて逃げていく。
なんだかあっけないな....。
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