39人が本棚に入れています
本棚に追加
「....大丈夫?」
御影くんは、私の目線に合わせるようにしゃがみこんでくれる。
「う、うん....。ありがとう、御影くん」
そんな御影くんに、これ以上心配をかけたくなくて、口の端をあげて笑顔をつくる。
「....手、震えてる」
御影くんは私の瞳をじっと見つめながら、ガタガタ震える私の両手をやさしく包みこんだ。
その手は、驚くくらいに温かい。
....やさしいひとの手が冷たいって、うそだと思う。
「な、んで....?」
─── ちがう、べつにあの男の人たちが怖かったわけじゃない
じゃあ、私はなにに対して、" 恐怖 " を感じているの....?
「っあの、私、は....っ」
「....ん、分かってる。なんにも言わなくていい」
眉の間に寄せていた皺をきゅっと解いて、やさしく下がる目尻。
....こんなにやさしい顔、するんだ。
御影くんは震える肩に手をおいて、頭をぽんぽんと撫でてくれる。
「....ありが、とう」
たしかな温もりを纏ったその仕草に、心がほどけていった。
御影くんは、とてもあたたかいひと。
たまに意地悪で、失礼なときもあるけど....
私は御影くんのやさしさに二度も助けられた。
「やさしいね、御影くんは」
御影くんを見上げながら、小さく微笑む。
「....普通、だろ」
少し頬を染めながら、ふい、と顔を背ける御影くん。
....意外と照れ屋さん?
「御影くんの " 普通 " に、私は助けられたよ」
にこりと微笑むと、御影くんはびっくりしたように、目を大きく見開いて。
ふわりと、嬉しそうな表情をつくる。
なんでそんなカオ......?
最初のコメントを投稿しよう!