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「先輩、今日が何の日か分かって渡してるのかなあ……」
休憩室に一人残された坂下は、チョコレートを片手にため息をついた。シンプルな透明のビニールの中に、形の良いチョコレートが四つ入っている。袋の口を縛っている青いリボンは多分、俺が前に青色が好きだと言ったからだ……なんて、思い上がりだろうか。
「俺もラッピングぐらいすれば良かった」
そっとリボンをほどき、チョコレートを一粒口に入れる。舌の上でとろりとなめらかにとろけるそれを、坂下はゆっくりと味わった。
でもまあ、いいか。チョコだって貰えたんだし、ケーキを渡せただけで十分だ。
坂下はチョコレートをそっと鞄にしまって微笑んだ。
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