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困惑の空気の中、僕は“少女”へ微笑んだ。
「久しぶり。カエデちゃん」
“少女”も柔らかく微笑み返した。
「久しぶりね。10年ぶりかしら」
「12年かな」
僕達の和やかな会話に皆呆気に取られている。
いち早く我に返った『灰かぶり』が会話に割って入った。
「ち、ちょっと待てよ! 知り合いなのか!?」
「幼馴染だよ」
僕があまりにも平然と答えたためか、またその場の空気が異質なものとなった。
皆言葉を失っている。鉄臭い部屋の中で朗らかな会話を見せつけられ、腰を抜かすことなく立っているだけでも正直なところ感心している。
「あ、言っておきますが僕は主催者側じゃないですからね。ちゃんと招待されてきてます」
招待の2文字でジロリとカエデを横目で睨め付けた。“招待”と呼ぶには随分とお粗末で乱暴なものだったではないか、と。
それを見ていた『マイア』が声を上げた。
「か、彼女悪くないヨ!」
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