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──誰も動かない。先程の虚言で慎重になっているようだ。だから最初に動くのは当然彼だった。
「とりあえず話し合いません?」
『灰かぶり』だ。
皆、何言ってんだこいつ、と言わんばかりの呆れ顔。そりゃそうだ。まあでもしかし、話し合わないことにはゲームが進まない。もちろん……気も進まないだろうが。
皆『灰かぶり』の元に集まった。
「この中から自分とペアになる人を探す必要があるんですよね……?」
そう最初に発言したのは意外にも『オーロラ』だった。本人も勇気を振り絞った、という様子で可哀想に思うくらい縮こまっている。誰も反応しないのを気の毒に思い、「そうですね」と、僕が相槌を打つと、『オーロラ』はホッと胸を撫で下ろした。
「共通点の『Keyitem』って一体なんなんだヨ」
めちゃくちゃ発音のいい“キーアイテム”をかましてくれたのは『マイア』だ。カタコトとのギャップが激しいのが少し面白くて、「なにをニヤニヤしてるんだ?」と、『灰かぶり』に訝しげに指摘され、「なんでもないよ」と、僕は慌てて居住まいを正す──と、途端に呑気な声が上がった。
「いーちぬーけた! あとはお前らでやってくれよ。俺様は余りの1人でいいからさー!」
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