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──まあ、当たり前といえば当たり前だが、虚偽申告はなかった。これでやっと話が前に進む。
「ずっと思ってたけど」と、『灰かぶり』が口を開いた。
「これらの名前って、童話の姫にちなんでつけられて……ますよね? けど──」
『灰かぶり』は『マイア』のワッペンに首を傾げる。
その意を汲んだらしい『オーロラ』がまるで先程とは別人のように流暢に補足をした。
「マイアはおやゆび姫が最後に呼ばれる名前です。……髪長は髪長姫……ラプンツェルの名前の方が一般的かな?」
「へえ、物知りなんですね」
「えっ? ……あ! すみません長々と!! 職業柄……縁がありまして、つい……」
賞賛して笑いかけたつもりだったのだが、我に返ったらしい彼はやはり彼であった。
「『オーロラ』さん、そういうのすごく助かるんで思いついたことはどんなことでもいいので教えてください。もちろん、お二人も」
『灰かぶり』が猫かぶりなスマイルを振り撒き、『オーロラ』が困惑しながらもコクコクと強く頷き、話を進める。
「灰かぶりはシンデレラ。マイアはおやゆび姫で、オーロラは茨姫……オーロラ姫のことで、髪長はラプンツェル。雪は白雪姫、と確定していいと思います」
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