王子様ゲーム

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王子様ゲーム

 21歳大学生。親の脛を齧ってそこそこの大学へそこそこの成績で、少し遅刻気味に通学する。それが僕にとって変わらぬ日常だった。  あの日までは──。  僕は見知らぬ場所で目を覚ました。頭を殴られたのか後頭部がとても痛い。目の前の赤い絨毯は埃だらけなのか体を起こした際には思わずむせた。  辺りを見渡すと、ここはどうやらゲームなどでよく見る古びた洋館のホール……のような場所に思えた。……ついでに、あとは同じように頭を押さえて顰めっ面をしている男性が4人いるのが見えた。  そこへどこからともなく、ホールに甲高い声が響いた。 「やあ、いらっしゃい! 諸君!」  変声機を使っているのか性別等はわからないが、にやにやと不快な笑みを浮かべているように聞こえた。  口を開きかけた時、突如部屋に轟音と共に、大きな鉄の塊が天井から降りてきた。  それは鎖にぶら下がった檻だった。中には少女が1人閉じ込められ、涙をこぼし、助けを求め、四方に手を伸ばしていたが檻はすぐに天井へ引き上げられ、隠し扉らしき場所へ消えていった。  その際微かに、苺のような甘さ……ラズベリーのような甘酸っぱさ……それらをふんわりと含んだ花のような──そんな香りが、錆びた鉄に混じってした気がした。  謎の声は言う。 「彼女を救いたいかね?」  僕は言葉尻で、無意識のうちに既に大きく頷いていた。彼女だけは絶対に救わなければならないと、そう思った。 「では諸君にはあるゲームをしてもらおう。まずは──王子様ゲーム」
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