5人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、主催者は焦ってる。媚薬の効果がきれ、参加者の目的意識が他に向くことを恐れている──。
僕は頷く。
「僕らが正気に戻ればゲームを放棄して一致団結……は、無理にしても、協力してここから逃げ出すかもしれない」
それが一番嫌なこと。
「けどまだ薬の効果は残ってるっぽいな──」と、『灰かぶり』は自分の頭をこんこんと叩いた。
僕もまだ少女を助けたいという気持ちを強制されている感覚……抗おうとすれば胸がざわめく。そんな嫌悪感にも似た違和感が本来の思考と感情の邪魔をする。
まったく、厄介なことだ。
僕は深くため息を吐いた。
息から微かにあの独特の香りがして、またため息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!