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水を打ったような沈黙と鉄の臭いがその場の空気を飲み込んでいくのを肌で感じる。
「ゲームに参加する意思のないプレイヤーは最早プレイヤーではありません」
唐突に響いた主催者の声に安堵したのはもう僕が狂っているからだろうか。
「私情でのリタイヤは認められませんので、悪しからず。皆様も誤解を呼ぶような言動等にはお気を付けください」
そこで声は止んだようだった。
沈黙が続く。焦ったくなって、口を開いた。
「ゲームに戻りましょう」
3人は僕を見てまるで未知の生命体と出会ったとでもいいたいような顔や、怯えた顔、そしてどこか安堵したような様子と様々な反応を見せた。
「だな。ゲームの進行が遅くて失格……なんてことがあったら笑えねえし」
『灰かぶり』は無惨な殺害現場から顔を逸らし、顔を顰めた。
「『オーロラ』さん、話のキーアイテムはわかりましたか?」
「え、あ、その、えっと……は、はい、あの──」
「落ち着いてください。急かしてるわけじゃないですから」
「す、すいませ、あの……ちょっと頭が真っ白になってしまって」
元々俯き気味だった彼だが、先ほどのことで余計に神経が張り詰めてしまっている。
本領を発揮できれば優秀な人材だけにここで潰れるのはいただけない。
「一度座りましょうか」
僕は部屋の片隅に乱雑に退かされたテーブルと椅子を指差した。
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