ゲーム開始

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「ルールは簡単」と謎の声は続ける。 「あらかじめ、諸君らの左胸に、『名前の書かれたワッペン』がつけられているのにはお気付きかな? 今からはそこに書かれた名前が『君の名前』だ。気をつけるように。うっかり本名を出したら──まあ、楽しみはとっておこう」と声はくつくつと笑う。  胸に手を触れてみると、たしかにいつものパーカーの感触と違う。声の言う通り、手の平大のワッペンが付けられているらしい。しっかりと縫い付けてあるのか貼り付けてあるのかわからないが、とても自力では取れそうにない。  見渡すと、他のメンバーも同じくワッペンの存在を確認しているようだった。 「このワッペンは自分からは見えない。そのかわり、他の人全員は自分のワッペンが見えている状態だ。諸君は自分が何者なのかをつきとめてくれ。……それでは、ゲーム開始」  困惑する人々を嘲笑うかのように、ゲームは始まった──。
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