王子様ゲーム

3/3
前へ
/32ページ
次へ
『マイア』は逡巡した後、言った。 「みんなを連れて来たのはオレだかラ──」 その場がしん、と静まり返る。皆が唖然としている中、カエデだけが穏やかな笑みを浮かべていた。 『マイア』は狼狽した様子で僕達を見回した。 「頼まれたんだヨ。拒めるわけないだロ?」 続いた言葉は実に荒唐無稽だった。 「だって“お姫様”から頼まれたんだから」 『灰かぶり』は馬鹿馬鹿しい、とそれを一蹴した。 けれど、僅かに目が泳いでいるのを僕は見逃さなかった。  僕は『マイア』に1つ問う。 「そのお姫様は“カエデ”ですか?」 「え?」 『マイア』はただ首を傾げた。 「いや、やっぱり答えなくていいです」 即答しないのか、できないのか。どちらかは不明だがどうでもいい。 そんな奴は“王子様”にはなれないんだから。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加