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『マイア』は逡巡した後、言った。
「みんなを連れて来たのはオレだかラ──」
その場がしん、と静まり返る。皆が唖然としている中、カエデだけが穏やかな笑みを浮かべていた。
『マイア』は狼狽した様子で僕達を見回した。
「頼まれたんだヨ。拒めるわけないだロ?」
続いた言葉は実に荒唐無稽だった。
「だって“お姫様”から頼まれたんだから」
『灰かぶり』は馬鹿馬鹿しい、とそれを一蹴した。
けれど、僅かに目が泳いでいるのを僕は見逃さなかった。
僕は『マイア』に1つ問う。
「そのお姫様は“カエデ”ですか?」
「え?」
『マイア』はただ首を傾げた。
「いや、やっぱり答えなくていいです」
即答しないのか、できないのか。どちらかは不明だがどうでもいい。
そんな奴は“王子様”にはなれないんだから。
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