王子様ゲーム

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「こんなの簡単だろ! お互い教えあえばいい話だろ!?」  と、紫色の髪を振り乱すファンキーな男が言った。ワッペンには『髪長』と書かれている。たしかに言われてみれば、男は十数メートル離れて見てみても長髪かもしれない。その風貌からはバンドマンを思わせた。  そのファンキーボーイに「なあ!?」と話を振られて、「えっ……」と、気弱そうな青年がびくりと肩を震わせた。ワッペンには『オーロラ』とある。僕と同い歳か、少し下くらいだろうか。しかし決定的に違うのは、彼が明らかに僕とは違う意味でをしていることだった。情けないことに、雰囲気でわかる。彼はどこかしらに就職している人種である。 「やめてやれヨ。ビビってんじゃねえかヨ」  妙な訛り方……いや、カタコトの長身の男性がそこに割って入った。ワッペンの名前は『マイア』だ。比較的近く──それでも十メートル近く離れていたが、年齢も比較的若く、瞳が青かったことから、国籍が違うのかもしれないと思った。  彼の周りで3人はドタバタと揉め始め、そんな一連の流れをぼうっと眺めていると、残りの1人──『灰かぶり』のワッペンをつけた青年がそっと僕の横に立った。  ……どこかで見たことのあるような。と、思考を巡らせて、「あ、雑誌に載ってた──」と彼の名前を口にする寸前、しぃっ! と酷く焦った様子で黙るようにジェスチャーを出され、僕は思わず口を押さえた。 「については触れていないが、何が起こるかわからない。気をつけろ」  僕は口を押さえたまま、こくこくと頷いた。『灰かぶり』はほっと息をつき、声を顰めた。 「俺達、組まないか?」
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