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「へ?」と、思わず間抜けな声が出た。
『灰かぶり』は未だごちゃごちゃと揉めている残りのメンバーを一瞥した。
「お前だけは、起きてからずっと落ち着きはらってた。普通こんな非現実的なことが起こったら冷静でなんかいられない」
「頭がついていってないだけなんだけど……」
それでも、と『灰かぶり』は、呆れた顔で「あれよりはマシだ」とため息をついた。まあ、たしかに。と、僕もため息をついて『灰かぶり』に向き直った。
「でも僕に、君と組むメリットはあるの?」
「……やっぱりお前にしてよかったぜ」
『灰かぶり』はニヤリと笑みを浮かべた。
「いいか? まずこのゲームには決定的な盲点がある」
「盲点?」
「勝てる人数が決まっていないってことだ」
主催者の説明を思い返してみると、たしかに勝敗については触れていない。
「勝てる人数が決まってないってことは、負ける人数も決まってないってこと──?」
そう。と、『灰かぶり』は頷く。
「これが俺達の組むまず最初のメリットだ」
主催者の言葉をまた思い返す。
そして、僕は決めた。
「わかった。……君は『灰かぶり』だ」
「交渉成立だな。『雪』」
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