ゲーム開始

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 しばらくして、ようやく気が済んだのか揉め事を終え、3人がこちらへ歩み寄ってくる。接触する少し前、『灰かぶり』がそっと僕に囁いた。 「いいか。俺が今から何を言おうと、お前は『雪』で、俺は『灰かぶり』だ」  3人は──『髪長』はイライラ、『オーロラ』はおどおど。そして『マイア』はうんざりとした様子だった。一目でわかる険悪。とてもじゃないが話しかけられる空気ではなかった。  しかし(灰かぶり)──。 「『髪長』さん。さっきあんたが言っていた通り、お互いに名前を教えあわないか?」  それも単当直入に。  僕はしばらくあんぐりと口を開けるばかりだったが、考えてみれば、この状況で話すことなどそれぐらいしかなかった。 『髪長』もポカンと口を開けていたが、自分の案に賛同者が現れたことが余程嬉しかったのか、さっきまでのイライラはどこへやら。僕を含めたメンバーに「それでいいよな!?」と、得意気に笑ってみせた。
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