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もし、そうであるならば芹沢は近くコクハク様のところへ行って、新たな秘密『猫殺し』を打ち明けるはずだ。まさか芹沢に限って、そんなことはないだろうと思いはするものの、ぼくの手のひらは汗でびっしょりと濡れていた。
そんなはずがない。
そう思っても、女の子のことはぼくにはよくわからない。
あの日、芹沢の涙をはじめて見た時だってそうだった。
ぼくの知らない、芹沢の裏の顔。
それを見てみたいと思っているぼくはおかしいのだろうか。汗でぬめる手のひらを制服のズボンに擦り付け、ぼくはこっそりと芹沢を盗み見た。
グループの輪から外れ、ひとり窓の外をぼんやり見つめている芹沢の横顔は、見たことのない女の子の顔だった。
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