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「すごく綺麗だよ」
真っ白なウェディングドレスに身を包んだ、ぼくのお嫁さん。芹沢陽花は、今日から大野陽花になる。
「ふふ。オーノンでも、そういうこと言えるようになったんだね」
「オーノンはもうやめてくれよ。それに君だって大野になるんだから」
あれから四年。
コクハク様の効力かどうかはわからないけど、ぼくの告白は成功をおさめ、四年の交際期間を経て晴れて結婚へと漕ぎ着けた。
「新郎新婦様、そろそろお時間です」
彼女の手を取り、一歩、また一歩。
きっとこれからはじまる毎日は、平凡ながら幸福に満ちた日々が続いていくことだろう。チャペルの扉が開き、あちらこちらから「おめでとう」の声と、シャッター音が鳴り響く。
緊張するぼくの隣で、彼女は花のように笑っていた。真っ白なドレスがまばゆく光り、参列者の笑顔が、またぼくたちの幸福感を高めていく。幸せだ。最高に幸せだ。
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