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芹沢の告白がうまくいかなかったことを、ぼくはバレンタインデーの翌日に知った。一体誰にチョコレートを渡そうとしたのか知らないが、クラスの女子によるとチョコレートすら受け取ってもらえなかったらしい。
芹沢ドンマイ。ぼくなんか今年も母親からしかもらえなかったよ。妹ですらくれないんだから、ぼくに比べたらぜんぜんマシさ。
そんなエールを心の中でひっそり送る。元気のない芹沢は、まるで花が萎れてしまったかのようで、いつもの元気はどうしたんだよとぼくまで心がしゅんとしてしまう。いや、別にぼくは芹沢が好きなわけじゃない。ただ、いつも元気な芹沢だけに、その姿が痛々しく思えるだけだ。
放課後になっても芹沢は部活へ行こうとしなかった。制服のままぼんやりと椅子に座っている。仲の良い女子たちは、みな部活に行ってしまったようだ。
「……部活、行かないの?」
ぼくなんかが声をかけるのもどうかと思ったが、芹沢はぼくみたいな陰キャにも気さくに話しかけてくれる貴重な陽キャだ。だから、声をかけるくらいは許されるだろう。
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