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バレンタインから一週間が過ぎると、クラスでちょっとした異変が起きた。芹沢を中心とする元気女子グループのひとり、橋本秋乃がバレンタイン翌日に見た芹沢のように元気をなくしてしまったのだ。
「アッキー、元気だしなよ」
「うん……でも、心配で」
「誰かに拾われたとか……ほら、保護猫団体の人に保護されちゃったとか!」
話の内容から察するに橋本がかわいがっていた野良猫がいなくなったとかだろうか?
「いつから見かけなくなったの?」
「バレンタインくらいからかな。もう一週間だよ。保護猫のホームページとかも見てみたけど、それっぽい子はいなくって……」
猫にはなわばりがあるから、そうそう居場所を変えたりはしないだろう。ということは、やはり誰かに拾われて家猫になったか、あるいは……。
「交通事故とかじゃない?」
「ヨッチ!」
死んでしまったのではないかという誰も口にしなかったことを芹沢がサラリと口にする。意外だった。普段の芹沢なら、絶対にそんなことを言わないはずなのに。橋本が信じられないものを見るような目で芹沢を見ている。
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