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浦島太郎もビックリ⁉️(6)
6
女と一緒に入った店は、落ち着ついた感じの店であった。
見ると、数人の客が、カウンターの前の椅子に座り寿司を食べている。
板前が寿司を握り、注文をとっていた。
奥にも机が並びそこにも、客がいた。
「此処は、寿司屋ですか?」
と、女に聞いてみた。
「そう、私 此処に一度来てみたかったの。
美味しいと評判のお店なのよ。値段は高いけど、さっきのお金が有れば充分よ。お兄さん、奢ってね。」
と、厚かましく言ってくる。
だが、食事に誘ったのは私の方だ。
女性にお金を払わせたなら、ご先祖様に叱られる。
「当たり前です。女に払わす様な事はしません。
ただ、この世の中の事を教えていただきたい。」
「解ったわ。それなら個室が良いね。私もお兄さんに聞きたいことがあるし。」
「店員さん。個室をお願いします。」
と、女はそこの女中に個室を要求し案内してもらった。
その部屋は、小じんまりとした所であるが、二人なら充分な広さである。 机の上には、色の付いた写真のお品書きがあった。
この日本では、私は初めて見るものであるが、・・・・。
女と私は、向かいあって座った。
この個室は、椅子がけで私が利用していた料理屋は、座敷であったが此処は違うみたいだ。
これも、未来の様相か?
女は嬉しそうな仕草で言ってきた。
「何を食べたいの?好きな物何?私ね、お寿司が好きなの!」
と、自分だけ、料理の写ったお品書きを見ている。
「私は好き嫌いは無いですね。子供の頃から、母に厳しく言われていたので、何でも食べます。でも食事の前に聞きたいのですが。」
と、重い口調で私は言ったのだが、女はお品書きを見ながら軽く言ってきた。
「何、聞きたい事って、? 私、これとこれとこれね。
先ずは、ビールね。貴方はビール飲むの?
江戸時代にビール あったの?」
と、聞いてきた。
「ビール?以前聞いた事がありますが、まだ飲んだ事は無いです。
どんな味ですか?私も、もらおうかな」
女は、何か押したみたいで、女中がやって来ると、
自分の欲しい物を注文していた。
私は焼き魚と寿司を注文した。
「貴女のお名前は、何と言うのですか?
私は、村上真之助と申します。」
「しんのすけ?、だったら、しんちゃんと呼ぶね。
私は、みどりよ。こずえみどり って言うの。
覚えてね。しんちゃん。」
と、急に馴れ馴れしい。
「ところで、この時代は何と言うのですか?」
と、今まで聞きたかった事を初めて聞けた。
「今わね。平成30年よビックリしたでしょ。西暦言うと
2018年よ。しんちゃんの住んでいた明治は何年なの?」
「私のいた頃は、明治7年です。
西暦1874年だと聞きました。」
「そうなの!そうすると、140年ぐらい前ね。
そこから、タイムスリップしてきたのね。
どの様にしてきたの?」
と、興味を示してきた。
「言ってもいいのですが、信じてはくれないでしょう!」
と、私は、みどりさんの様子を伺いながら言ってみた。
私の本心は、みどりさんに聞いてもらいたかったのだが。
(人は何故、自分の秘密を他人に話したくなるのだろうか?
話しをしても仕方ないのに、聞いてもらいたくなるのは、私だけでは無いであろう。)
「何言ってのよ。私をここまで連れてきて、話をしないのは可笑しいでしょ。信じてあげるから、話なさいよ」
と、命令口調である。
みどりの顔をよく見ると、化粧は濃いし、美人とは言えない顔である。
だが、人は良さそうな感じで、笑顔は可愛くも見える。
「でも、話をすると長くなりますよ。」
「良いわよ。聞いてあげるわ。と、言うよりも聞きたいの。
私って、好奇心が強いのよ!」
と、会話している時に黄色い飲み物が運ばれてきたのだが、
これが、初めて見るビールであった。私には小便の様に見えた。
みどりさんは、「乾杯」と言ってビールを飲んでいる。
私は恐る恐る、一口飲んでみた。
イケる。美味しい。少し苦いがその苦味が良い。
「で、何から話してくれるの?」
と聞かれたので、私は蘇った記憶の話しをする事にした。
それは、・・・・・・。
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