episode 1

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 ゆらのは「何をして・・・?」と声を出すが、慎司は「静かに。三上さんはお財布の事だけ、頭にイメージしてください」と言った。  ゆらのは黙ると、言われた通り頭の中で自分の財布をイメージする。  数十秒後。  ゆらのの額から手を離した慎司は、「ありがとうございます。では、これから探しますが、謝礼はお財布の中の金額、3割で宜しいですか?」と聞いて来たので、ゆらのは首を傾げながら「はい」と答えた。  ゆらのの返事を聞いた慎司は、席を立つ前に目の前に置かれているカフェラテを飲み終えると、「あっ、ここのお会計は自分が!」とゆらのに振り向きざまに右手で『止まれ』の合図を送るように掌を見せ言うと、早々に会計を済ませた。  店を出た二人は、「では、行きましょうか」と慎司が歩き出した。 「あのぉ!駅はこっちですが?」  ゆらのが慎司の歩き出した方とは反対の方を指差し言うと、「大丈夫です。こっちに、行きましょう」とスタスタと歩き出した。
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