episode 2

8/12
前へ
/162ページ
次へ
 慎司は駅を出ると横幅の広い、駅前広場に下りれる階段をゆっくりと降りて行く。  会談を前にしてすぐに警察のパトカーが左側に列を組んで停まっているのが見えたので、視線はすでにそちらへ向いていた。  階段を下り、回り込むように駅の方へ少し戻る。  黄色い規制線テープが貼られている前で足を止めると、慎司の姿に気づいた一人の刑事が慎司に近づいて来た。 「警部」 「間崎君。すまない・・・。中に入って来てくれ。すでに鑑識の捜査は終わっているから、そのままで構わない」  私服刑事の男、川澄敦(かわすみ あつし)は慎司を規制線の中に入れた。 「警部・・・。ここで何があったんですか?」  慎司は警察官がまだブルーシートの中で何か捜査をしている様子を見て不安を口にした。 「報道は・・・?見たんだろう?」  川澄は慎司に尋ねた。 「えぇ・・・。爆発事件だと・・・」  慎司はブルーシートの中でどんな状況が起こっているのか、頭の中で考えがまとまらずにいる。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加