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慎司はブルーシートの外に出された。
振り返りブルーシートの中を見つめる視線の先で、川澄はあの破壊された車の残骸を見つめながら何を考えているのか?
30代後半で妻と2人の娘がいると聞いたことがある。
平和な世界で子供を育てたいと願い、警察官になったと自慢気に話していたことを慎司は思い出した。
そんなことを思い出すと、自分がここに呼ばれた意味を勘違いして、帰るところだったのでは無いかと、慎司の心の中は後悔の念で満たされていくようだった。
慎司は振り返りブルーシートの前まで戻ると、「川澄警部!」と中にいる川澄を呼んだ。
ブルーシートが捲られ、川澄が顔を覗かせる。
「何だ?まだいたのか」
素っ気ない言葉で慎司を見つめる川澄に、慎司は「もう一度、やらせてもらえないかな」と頼んでみた。
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