episode 3

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 仕立ての良いスーツを着込んでいる男は、大きく息をすると、近寄ってきたまだ幼さの残る少年と少女に視線を向けた。 「来てたのか?」 「はい。先生の言葉を聞きたくて」  2人は壇上をゆっくりと下りてくる紳士を先生と呼んだ。  ホール全体が照明を落としての講演だったので、照明が明るくなると、先生の姿がハッキリとわかる。  年齢は60代前半に見えるが、髪型や背筋からはそれ以上に若く見える。 「私はこの後、まだ打ち合わせやコロニーシップ造船の資金調達と忙しいから、先に私のホテルに帰っていなさい」  先生は付き人を呼ぶと、「子供達を私のホテルに案内してやってくれ。部屋も確保してあげてくれ」と頼んだ。  付き人の男は、「承知しました。ではルナ様、心様。ホテルへご案内します」と2人を誘導した。  
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