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トナミは彼の視線の先を辿った。
自分の斜め後ろに他の外国からの来賓に握手をして会話をしている、現国連事務総長のアルマミハラに彼の視線は向けられていた。
「彼のオイルマネーの力は偉大です。その恩恵を受けている世界も多い。彼が任期継続を望むのなら、私のような日本人が事務総長になるなんて、遠い夢のような話です」
「トナミ。私の国には昔から、アメリカンドリームという言葉がある。ワールドドリーム!叶えてみないか?」
リカルドは笑いながら話すが、トナミの心境は1つに絞られていた。
『そうだよ。リカルド。私はまさに、そのワールドドリームを狙っているさ』
トナミの瞳が鋭く光った。
「しかし。君が望む温暖化対策の考えに、彼らのような中東の国々の存在は邪魔でしか無いのでは?」
トナミに視線をリカルドに戻すと、「それを言ってしまえば、中東に限らない。今世紀初頭に交わされた京都議定書の公約を守った国は今現在、どれだけなのか?それ自体が温暖化が進む要因なのでは?」と聞き返した。
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