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アルマミハラと別れたトナミは、振り返りもせず、彼には返答もせずホールを後にした。
来変専用出入り口に来ると、付き人が運転する送迎者が横付けされた。
その車をよく見ると、助手席に見慣れた顔の男が座っていたので、少し驚いた表情を作る。
運転手兼付き人が降りて来て後部座席を開ける。
トナミは何も言わずに後部座席に乗り込むと、車が走り出すまで黙っていた。
ホール敷地内のゲートを出たところで、トナミは「いつ、こっちに来た?」と助手席に座る男に尋ねた。
男は俯いた顔に不気味な笑みを浮かべ、「今朝がた、ロンドンから・・・」と応えると、「ターゲットは始末しました。次は?」と尋ねる。
「次か・・・。それはホテルに戻ってから決めよう。心とルナも戻ってきているのでな」とトナミは答えた。
車は高層ビル群の間を抜けていく。
目の前にハドソン川が見える畔で停まると、トナミは自らドアを開けて降りた。
「来い!ジャック!」
助手席の男に声を掛けると、男は軽い笑みを浮かべながら車を降り、トナミの後について歩き出した。
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