ウィル≠ガイア

episode 1

　慎司は春日を見送ると、次の依頼主に電話をして、引き受ける連絡を入れる。

「では、どこかに落とした財布を。探すという依頼ですね？」

　慎司は長身に白のYシャツ、黒に近いグレーのパンツを履いている。その上にデニムジャケットを羽織ると、スマホと事務所の鍵、財布等を入れた襷掛けのショルダーバッグを持つと、事務所を出た。

　依頼人との待ち合わせ場所である喫茶店に入る。コーヒー豆の良い香りが嗅覚を刺激する。

　肩からバッグを下ろし、注文を聞きに来た可愛い女の子の店員に、「カフェラテ」と注文する。

　注文したカフェラテが運ばれてきたのと同じタイミングで依頼人が店に入ってきた。

　事前に依頼人の特徴を聞いていたので、慎司にはすぐにわかった。

　右手を軽く挙げ、依頼人にわかるように合図を送ると、若い女性客が軽く会釈をして近づいて来た。