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ゆらのが腰を下ろしたのと同時に慎司も腰を下ろすと、「それで・・・、ご依頼は落とされた財布を見つけて欲しいと・・・?」と話を切り出した。
「はい」
ゆらのは静かに返事をすると、「昨日。ここでお茶をした時まではあったんですが、お店を出てから何度かカバンに手を入れた事は覚えてるんですけど、近くの駅から電車に乗って、降りる駅でICカードが残高不足だったんで、お金をチャージしようとしたら・・・」と、話をしている途中で、慎司が「財布が無かったと・・・」と最後の言葉を呟いた。
ゆらのは静かに頷く。
「たまたま、知り合いの方がいたので、僅かなお金を借りて、駅からは出れましたが・・・。あの・・・、財布にはキャッシュカードやクレジットカードも入っているので、どうしても見つけてもらいたいんです」
「そうですか。わかりました。では、早速行動に入りましょう。ちょっと、申し訳ありませんが、落とした財布をイメージしてもらえますか?」
慎司はそうゆらのに呟くと、「すいません」と謝ってから彼女の額に手を当てた。
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