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まつりのにわ
『もしもし、晴翔。元気にしてる?』
「うん、久しぶり。どうかした?」
『陽太のこと、何も聞いてないかな』
「いや、何も」
『先月、亡くなったんだって。陽太のお母さんから聞いたの』
小国晴翔は言葉を失った。吹奏楽部で部長を勤めていた同級生からの電話は、旧友の死を告げるものだった。
「……なんで亡くなったか、わかる?」
『聞けなかった。私もご挨拶に行きたいけど、上京したから難しくて。ぜひ晴翔に伝えて欲しいって』
「分かった。俺代わりに行くよ。岩手残留組だし」
『本当?ありがとう』
「また後で連絡するから」と告げて電話を切る。そのままスマートフォンの電源を落とし、腰掛けているベッドに寝転んだ。そのまま目を閉じると、いやがおうにも高校時代の思い出が脳裏に浮かんできた。
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